オフィスのセキュリティ対策~事例や対策のポイントをご紹介~

オフィスのセキュリティに関する意識は近年、ますます高まってきています。オフィスセキュリティといえば、外部に対する防犯対策がイメージされますが、不正持ち出しや情報漏洩といった内部要因も決して軽んじることはできません。

オフィス内にある機密情報のセキュリティを守ることは、会社の存続にもかかわる重要なことです。今、企業に求められるオフィスのセキュリティ対策や、セキュリティにポイントを置いたオフィスの選び方を事例とともにご紹介します。

企業のセキュリティ意識の高まりの背景

近年、企業にはより一層のセキュリティ対策が求められるようになってきました。

個人情報保護法が2017年5月に改正され、インターネット、スマートフォンの普及などから、中小企業にとっても個人情報を一つでも取り扱っていれば、法律を遵守する必要が出てきました。

また2016年1月からのマイナンバーの導入や情報漏洩事故の多発により、企業は規模を問わず、ますます気を引き締めてセキュリティ対策を実施していく必要があります。

今、オフィスに求められるセキュリティとは

特にオフィスのセキュリティは、機密情報や個人情報等を守るために、強化していく必要があります。では、今、具体的にどのようなオフィスセキュリティが求められているのでしょうか? 以下、オフィスにおける一般的なセキュリティ対策について、主なものをご紹介します。

※本コラムでは、BCP(事業継続計画)等の危機管理については言及しておりません。BCPに関しては、別途ご紹介させていただきます。

●人的対策

従業員や組織の意識付けを徹底することです。まずは組織のセキュリティ方針などのルールづくりや従業員への周知、教育などが前提になります。それを踏まえて、従業員の持ち出しや情報漏えいに対する対策、組織としての利用・保管・廃棄のルール付けといったセキュリティ対策をしていく必要があります。

●物理的対策

入退室管理や監視カメラなどの物理的なセキュリティ対策がこれに相当します。外部に対する防犯対策としてはもちろんのこと、従業員のミスにより、情報漏洩をはじめとした甚大な損害が生じ得ることなど、全般を予防するものです。

●技術的対策

施錠・解錠の履歴管理を備えた収納システムなど、技術的な情報セキュリティシステムの強化を指します。IDとパスワードによるアクセス制御、不正ソフトウェア対策、ネットワーク管理、暗号化対策などがあります。

セキュリティを意識した物件選びのポイント

では、これらのセキュリティ対策を意識してオフィス物件を選ぶ場合、どのような点に注意して選べばよいのでしょうか? オフィスの物件選びの主なポイントをご紹介します。

●ビル共用部のセキュリティ体制はどうか

オフィスの一室を借りる場合、ビルそのもののセキュリティ体制は第一のチェックポイントです。共用部のセキュリティ体制はどうなっているのかの確認が必要です。人の常駐警備や、防犯カメラやセンサーなどの機械警備の有無など、必要なセキュリティを備えているか確認しておきましょう。

●入退室セキュリティの設置が可能か

各フロアや居室のドアにセキュリティ設備を設置するのは当たり前になっています。例えば、オフィスへの入室は、非接触カードリーダーなどを利用するなどの方法があります。独自にセキュリティシステムを構築したい場合、ビルのセキュリティシステムや防災設備との連動なども考慮する必要があります。

●立地

都心部と地方では、ビルのセキュリティに対する考え方は大きく異なってきます。例えば、土日祝日は正面玄関が閉鎖され、そのビルには裏口などから従業員しか入れない仕組みは都心部では一般的ですが、地方ではなかなか同じようにいかず、土日祝日でも正面玄関が閉鎖されていないケースもみられます。どのようなセキュリティが必要かによって、立地選びや立地に応じたセキュリティ対策が求められます。

●隣接企業の業種・人の出入り状況

隣接企業がどのような業種で、人の出入りがどうなっているのかを確認する必要もあります。例えば、物流業者が頻繁に出入りしたり、一般の方を呼ぶセミナーが行われるなど、不特定多数の人の出入りが激しい場合、物理的なセキュリティ対策は万全にしておく必要があります。

●室内のゾーニング

執務エリアと来客エリアを明確に区分けする、機密文書や機器などのある部屋はセキュリティを強化する、部署ごとにフロアのゾーニングを考えるなど、オフィス内でもセキュリティレベルが変わることから、理想のセキュリティが実現できるフロア割り、ゾーニングができる建物であることが求められます。

一般的に、セキュリティレベルは「レベル1:共用部、レベル2:執務室、レベル3:サーバ室・重要書類保管室」のように分かれており、設備や仕様が異なります。特にレベル3については、天井や壁などの建築から対応する必要のあるセキュリティ領域となるため、このような強固なセキュリティゾーンを作る必要がある場合には、建築や移転の段階で検討し、対応可能な業者に依頼する必要があります。

セキュリティを意識したオフィス最新事例

こうしたセキュリティ対策を考えたオフィス選び、構築を行った最新の事例をご紹介します。

●入退室にセキュリティを実施

ある企業は、同ビル内に隣接する企業に、頻繁に物流業者が訪れることから、入退出管理セキュリティを強化しました。建物のエントランスは常に開放されていることから、各階までは誰でも行き来できるようになっています。来客ゾーンは誰でも入ることができますが、執務ゾーンについてはセキュリティを強化し、非接触カードリーダーでの入退室にしました。

●ゾーニングや建物の設計を検討

別のある企業は、来客ゾーンと執務ゾーンの切り分けを行い、執務ゾーンへの侵入を制限する手法をとっていましたが、オフィス移転時に、外部からの侵入防止をさらに強化するために、建物の設計そのものの特性を捉え、死角の少ないオフィスレイアウト、ガラス張りの個室、セキュリティウォールの設置など、細かなセキュリティ施策を行いました。

オフィスのセキュリティに関しては、企業規模を問わず、今後より一層強化していく必要があります。このような状況の中で、いかに自社に適したセキュリティ環境を整えられるかは、オフィス選びの大きなポイントの一つになるでしょう。